閉じ込められた空間

閉鎖空間

 

私の世界は茨に覆われている。

 

この茨に触れて無事に住んだ人を見た事がない

まるで生きてるかのようにグネグネと蠢き

そして殺人者のように逆らう者を喰らう

 

私は外の世界を知らない

私はここで生き死んでいく定めだ。

 

村の人はもう誰もいない

突如として現れた茨にみんな食べられてしまった。

 

あの光景を私は鮮明に覚えている。

悲鳴や叫び声、母や友人の赤い血の色

阿鼻叫喚という言葉が浮かび上がった。

 

私はあの日全てを失った。

いつからか涙も枯れ、狂ったように頭を掻き毟り抜け落ちた髪の毛も今じゃ元通りになっている。

 

時の流れは残酷だ

人は生きているだけで前を向いていると思う。

絶望に押し殺されないように

神様が私達人間をそう作ったんだと思う。

 

茨が憎い、、、

茨さえ無ければ私は幸せだった!

 

時折人間らしい気持ちを取り戻すが

私にはどうする事も出来ない

食べ物も後僅かしかない

 

いっそのこと私も茨に食べられてしまおうか?

と思った事もある。

 

でも私は生きていたいよ、、

世界を知りたいの、、

茨が私の全てを奪っていった。

 

茨なんて嫌いだ!嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い、、

母や友人の顔が浮かぶ

いつから笑っていないだろう、、?

笑い方を忘れてしまった。

 

私はもう人間じゃないのかも知れない

生きて呼吸して食べて茨に怯えて暮らしている。

 

私が女なのか男なのかわからない

人間ってなんだ?

私以外のヒトの事を指すのかもしれない。

 

私以外の人ってなんだ?

母や友人の顔がぐちゃぐちゃに歪み始める

あの日私も死んでしまったのかもしれない

 

狂ったように笑い始める私

風の音と茨の蠢く音が耳に入る。

 

あー、、でも今夜は月がキレイだなぁ、、

あははははは

あははははは